生活習慣病とは
「生活習慣病」とは、食事や運動、喫煙、飲酒、睡眠といった日々の習慣が、発症のきっかけとなる病気のことです。
以前は「成人病」と呼ばれていましたが、必ずしも加齢だけで発症するわけではなく、生活習慣が発症に深く関わり、それを改善することが病気の発症や進行予防に役立つことから、「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。
日々の生活習慣の乱れが少しずつ積み重なって発症するため、普段から食生活を整えたり、運動を心がけたり、禁煙に取り組んだりすることが、何より大切になります。
生活習慣病の特徴と危険性
生活習慣病の多くに共通する、注意が必要な特徴は「自覚症状がほとんどない」ことです。
健康診断で血圧やコレステロール値の高さを指摘されても、普段の生活で何も困っていないため、そのままにされているケースも少なくありません。
しかし、その間にも生活習慣病は静かに進行していきます。
そして、静かに蓄積したダメージがある日突然、心筋梗塞や脳梗塞、心不全といった重大な病気を引き起こし、これまでの日常が大きく変わってしまうこともあるのです。
だからこそ、無症状の段階で対処することが何よりも重要です。
定期的にご自身の体の状態をチェックし、もし異常が見つかれば、早期に対応することが、将来の大きな病気を防ぐことにつながります。
代表的な生活習慣病
主な生活習慣病には以下のような病気が含まれます。
ここに挙げた病名は、多くの方が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これらは決して特別なものではなく、誰の身にも起こりうる身近な病気、それが生活習慣病です。
高尿酸血症
「尿酸」とは、細胞の新陳代謝によって生じる老廃物の一種です。
生命活動に欠かせない「プリン体」が分解されることで作られ、通常は血液に溶けて全身を巡り、尿などから排泄されます。
この尿酸が血液中に多くなりすぎた状態を「高尿酸血症」といいます。
日本では食生活の変化に伴い患者数が増加しており、現在は 1,000万人以上 にのぼるとされています。男性に多い病気ですが、閉経後の女性では尿酸値が上がりやすく、男女差が小さくなる傾向があります。
また、かつては中高年に多い病気とされていましたが、20~30代での発症も珍しくありません。
特に痛風発作は30代で初めて起こることが多いとされています。
高尿酸血症は単に「痛風」の原因となるだけでなく、腎臓や心臓など全身の臓器に影響を及ぼす全身疾患です。
そのため、早期からの適切な生活習慣改善や医師による管理が非常に重要といえます。
高尿酸血症の主な症状
高尿酸血症の怖い点は、初期にはほとんど自覚症状がないことです。
しかし、尿酸値が高い状態を放置すると、以下のような症状や病気を引き起こします。
痛風発作(痛風関節炎)
体内で増えすぎた尿酸が結晶となり、関節に溜まります。
この結晶が何かのきっかけで剥がれ落ちると、免疫細胞がそれを異物とみなして攻撃し、激しい炎症が起こります。
特に足の親指の付け根などが赤く腫れあがり、「風が吹いても痛い」と言われるほどの激痛に襲われます。
痛風結節(つうふうけっせつ)
尿酸の結晶が関節の周りや皮膚の下に長年かけて蓄積し、こぶ状の塊(かたまり)になったものです。
全身の合併症
高尿酸血症は、痛風だけでなく以下のような様々な病気のリスクを高めます。
他にも尿酸が高い方は高血圧やメタボリックシンドロームのリスクが高いことも報告されており、全身の病気につながります。
高尿酸血症の原因
高尿酸血症は、遺伝的な体質と生活習慣(環境要因)が複雑に関わって起こります。
尿酸は体の中で常に「つくられる量」と「排泄される量」のバランスがとられていますが、このバランスが崩れると、体内の尿酸が多くなってしまいます。
つまり、尿酸が作られすぎる場合や、排泄する力が弱くなる場合に、高尿酸血症が進みます。
特に次のような生活習慣は尿酸値を上げる原因となるため注意が必要です。
- 肥満
- アルコールの摂りすぎ
- 肉や魚介類(プリン体を多く含む)の食べすぎ
- 果糖(清涼飲料水やジュースなど)の摂りすぎ
高尿酸血症の治療
高尿酸血症の治療の目標は、痛風発作の予防だけでなく、将来起こりうる腎臓や心臓などの合併症を予防することです。
そのために、尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことを目指します。
1. 生活習慣の改善
治療の基本は、食事や運動習慣の見直しです。
- 食事:
- プリン体を多く含む食品(レバー、魚の干物など)やアルコールを控えめにすることが基本です。(※1日のプリン体摂取量は400mg以内が目安とされています。)。
一方で、コーヒー、チェリー、ビタミンC、乳製品(特に低脂肪乳製品)は痛風リスクを下げると報告されています。
また、食物繊維の多い食品、野菜や果物、魚を中心とした健康的な食事法(DASH食や地中海食など)も、尿酸値を下げる効果が期待できます。
尿路結石の予防のために十分な水分摂取も大切です。 - 運動:
- ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動が尿酸を下げることに有効です。
1回10分以上、1日合計30分以上行うことが推奨されています。
2. 薬による治療
生活習慣を改善しても尿酸値が下がらない場合や、尿酸値が著明に高い場合、合併症がある場合は薬物治療を検討します。
薬には「尿酸の生成を抑える薬」、「尿酸の排泄を促す薬」があり患者さまの状態に合わせて使い分けます。
また他の薬が尿酸値に影響することもあり内服中の薬の見直しも有用ことがあります。
3. 痛風発作が起きてしまったら
すでに激しい痛みが起こっている場合は、まずその炎症を抑える治療を優先します。
炎症を抑える薬を使用します。
今まで高尿酸血症の治療をしていなかった方は炎症が落ち着いてから、尿酸値を下げる薬の使用を検討します。
肥満症・メタボリックシンドローム
単純に体重が多い状態(BMIが25以上の状態)を肥満と呼びますが、肥満に加えて高血圧や糖尿病、脂質異常などの健康障害を合併している状態を「肥満症」といいます。
新たな健康障害の発症リスクも高く、減量が必要とされる状態です。
また、BMIが35以上ある方は高度肥満症として、積極的な治療が推奨されています。
一方、メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積が原因で、高血糖・高血圧・脂質異常のうち複数が重なった状態です。
診断には腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)が基準となり、肥満症の基準を満たさない方(BMIが25未満)でも当てはまる可能性があります。
虚血性心疾患や脳卒中の危険性が高くなることがわかっており、注意が必要です。
肥満症・メタボリックシンドロームの危険性
肥満症やメタボリックシンドロームは生活の質を下げるだけでなく、全身の血管にダメージを与えて動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクを高めます。
さらに、関節への負担から変形性関節症が起こりやすく、腎臓病や睡眠時無呼吸症候群などの合併症も増えます。
また、肥満は大腸がんや子宮体がん、乳がん、肝臓がんなど一部のがんの発症リスクを高めることも知られています。
肥満症・メタボリックシンドロームの治療は、これらの病気を防ぎ、健康寿命を延ばすことを大きな目的としています。
あなたのBMIは? チェックしてみましょう
BMIは身長と体重から計算することができます。
下のチェックシートに入力することで簡単に計算できます。ご自身のBMIをチェックしてみましょう。
肥満症・メタボリックシンドロームの原因
基本的な原因は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、体脂肪が蓄積することです。
このバランスの崩れには生活習慣が大きく関わり、食べすぎや脂質・糖分の多い食品の摂取、早食い、運動不足、飲酒などが影響します。
朝食を抜くことや夜遅い食事もリスクを高めるとされており、さらに睡眠不足や睡眠の質の低下も肥満やメタボリックシンドロームに関係すると報告されています。
一方で、肥満のすべてが生活習慣だけで起こるわけではありません。
まれに遺伝子異常、ホルモンの病気、薬の副作用(ステロイドや一部の精神科薬など)による二次性肥満も存在し、診断や治療方針を考えるうえで注意が必要です。
予防と改善のポイント
肥満症・メタボリックシンドロームの予防・改善の目的は、合併症を防ぎ生活の質を高めることです。
基本は生活習慣の見直しで、食事と運動が中心となります。
体重は3~6か月で現在より3%以上の減量を目標にし、高度肥満症では5~10%を目指します。
食事は栄養バランスを保ちながら、摂取カロリーを消費以下に抑えることが大切です。
脂質や糖分の多い食品を控え、適量を意識しましょう。
運動は有酸素運動が効果的で、1日30分以上、週150分以上運動が推奨されます。
生活習慣の改善で不十分な場合や高度肥満症では、薬や外科的治療が検討されることもあります。