心不全ってどんな病気?

心不全イメージ

私たちの心臓は、1日に約10万回も拍動し、全身に血液を送り届ける、非常に重要なポンプの役割を担っています。
心不全とは、心臓の働き(全身に血液を送るポンプ機能)が低下した結果、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなり、以下のような様々な症状が引き起こされる状態です。

  • 肺に水が溜まって息苦しくなる
  • 全身に水分が溜まってむくむ
  • 臓器の血流が不足して疲れやすくなる

心不全は風邪などのようにすっかり「治る」病気とは異なり、状態が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に進行していくことが特徴です。
そのため、より良い状態を少しでも長く保つために、早期発見と早期からの適切な治療が重要です。

心不全の症状

心不全は初期には症状が乏しく、軽い変化は見過ごされがちです。
次のようなサインに気づいたら注意が必要です。

  • 息切れ
    坂道や階段、時には平地を歩くだけでも以前より息が上がる。
  • 足のむくみ
    夕方に靴がきつい、脛(すね)を押すと跡が残る。
  • 体重増加
    数日で数kgという急な増加や、むくみを伴う増加
  • 夜間の息苦しさ・咳
    横になると苦しくなり、体を起こすと楽になる。
  • だるさ・疲れやすさ
    身の置き所のないしんどさ、を感じることもあります。

また、安静時の強い息苦しさピンク色の泡状の痰意識障害や冷や汗、は「急性心不全」と呼ばれる重い状態の可能性もあり、直ちに受診が必要です。

そこまでひどくなくても、「いつもより息切れがする」「なんとなく体がだるい」といった「いつもと違う」と感じる症状も、悪化のサインかもしれません。

心不全は生活習慣や治療で進行を遅らせることができます。気になる症状があれば、放置せず早めにご相談ください

心不全の原因

心不全は、様々な心臓の病気や、心臓に負担をかける生活習慣病が原因となって引き起こされます。

心不全の主な原因

また、糖尿病脂質異常症、肥満といった生活習慣病も、他の心血管病を引き起こしたり、心臓そのものに負担をかけたりするため、心不全の大きなリスクとなります。
心不全を予防・管理するためには、これらの原因となる病気を早期に発見し、適切に治療することが大切です。

心不全の進行度

心不全には「ステージ分類」があり、以下のようにステージAからステージDの4つのステージに分かれています。

ステージA:心不全のリスクがある段階
高血圧や糖尿病など、心不全のリスクはありますが、心臓の機能はまだ正常な状態です。
ステージB:無症状の心臓異常の段階
心臓の構造や機能に異常があるものの、まだ症状を生じていない段階です。
心不全の進行を抑制する薬物治療を検討します。
ステージC:心不全の症状がある段階
息切れやむくみといった心不全の症状が出現した段階です。
この段階からは症状があるため、異常に気付き医療機関を受診され診断されることが多くなります。
進行抑制と症状を和らげる治療が必要です。
ステージD:治療が困難な末期の段階
薬物治療などを最大限行っても、重い症状が続いてしまう「治療抵抗性」と呼ばれる段階です。
症状を和らげるための治療が中心となり、状況に応じて補助人工心臓と呼ばれる機器を用いたり、緩和ケアの導入も重要な選択肢となります。

心不全は症状が出る前から始まっています。
進行を遅らせるため、早期に発見し適切に介入することが重要です。

心不全を調べるための検査

心不全が疑われる場合、以下のような検査を行い、心臓の状態を正確に評価します。いずれも患者様へのご負担が少ない検査です。

心臓超音波検査(心エコー)
超音波を使って、心臓をリアルタイムで詳しく観察できます。
痛みや被爆がなく、心不全の診断や、治療方針の決定に欠かせない検査です。
胸部レントゲン検査
心臓の大きさや形、肺に水が溜まっていないかなどを確認します。
心電図検査
心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や心筋梗塞、心肥大などの有無を調べます。
血液検査
採血により、心臓に負担がかかると分泌されるホルモン「BNP」や「NT-proBNP」の値を測定します。
腎不全、甲状腺ホルモンの異常や貧血なども心不全の原因となることがあり血液検査が有用です。

状況によっては、CT検査やMRI検査等を必要とする場合もあります。これらの検査結果を総合的に判断し、患者様一人ひとりに最適な治療方針をご提案いたします。

心不全の治療とセルフケア

心不全の治療では心臓の機能や、心不全の原因に合わせて薬物治療と非薬物治療を組み合わせて行います。

薬物治療

心不全では、心臓の負担を軽くしたり、体に溜まった余分な水分を取り除いたりするために、様々な薬が用いられます。
心臓の動きや血圧等によって適切な薬を組み合わせて使用します。

非薬物治療

心不全の治療においてはお薬の治療だけなく運動療法(心臓リハビリテーション)などの非薬物治療も重要です。
また、心不全の状態によっては補助機器の植込み手術を検討する場合もあります。

毎日のセルフケア

医療機関で提供される治療だけではなく、ご自宅での自己管理(セルフケア)も非常に重要です。
栄養管理や感染予防、血圧や体重の記録等を行い、身体と精神の健康を維持するとともに、異常に早期に気づくことで早期の治療に結びつきます。
ご自身だけで管理するのは大変ですのでご家族や医療スタッフと一緒に無理なく続けられる方法を見つけていきましょう。

心臓リハビリテーション

心臓が悪いと動かない方がいいのでは、と思われるかもしれませんが、心不全において適切な運動を行うことは非常に重要です。
患者さん一人ひとりの体力や心臓の状態に合わせた適切な運動を行うことで、身体機能の改善や、心不全による再入院のリスクを低減することも報告されています。
(詳しくは心臓リハビリテーションページをご覧ください)